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hkmaroのブログ

読書の感想など

読書メーター5月まとめ

5月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:5654ページ
ナイス数:36ナイス

悲鳴伝 (講談社ノベルス)悲鳴伝 (講談社ノベルス)
脱社会的存在が社会と戦う話。ゆえに地球の問題は結局どうでもよくなっていく。ほんと、酒鬼薔薇的な脱社会性を内面化した作家で、宮台をはじめとする「モンスターな若者」説を内面化した、ひきこもり・ニートの真の敵、西尾維新だ。これは肯定できないし、金太郎飴だし、小説として見ても思弁の書として見てもあまりに冗長。いつまで酒鬼薔薇を続けるのか。そんなに酒鬼薔薇でいたいのか。それともそう願う「中二病」の読者が(作者含め)多いから、商業合理的にそれを書き続けてるだけなのか。多分最後のが正しい理由だと私はみる。
読了日:05月03日 著者:西尾維新
スピン (角川文庫)スピン (角川文庫)
偶然最近読んだ西尾維新の『悲鳴伝』との相似性に気づき、やはりこの二人はあらゆる意味で似てるなと思う。脱社会的な6人の少年がバス内で社会的存在と触れ合うが、黒幕は人倫を超越した、社会の中枢を占める極度にソーシャルな人々。社会と倫理の無関係性を描くところも同じ。倫理的存在が自らの脱社会性を自覚するところは、むしろ西尾維新よりも認識が深いとすら言える。不幸にも少年犯罪の「参考図書」になってしまったわけだが、自分が少年に本を勧めるなら西尾維新よりも山田悠介だとすら思う。
読了日:05月03日 著者:山田 悠介
おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! 2 (富士見ファンタジア文庫)おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! 2 (富士見ファンタジア文庫)
殿村クララちゃんが一番可愛い。
読了日:05月05日 著者:竹岡 葉月
3・12の思想3・12の思想
面白いんだけど、東京から疎開しない奴はバカ、みたいな論調には賛同しかねる。夫のそれなりの高収入により成り立っている筈のインテリ主婦の活動を過度に賛美するのもバカな左翼の典型例と言う感じがして品位を疑う。それ以外はおおむね良いこと書いてあるとは思う。
読了日:05月07日 著者:矢部 史郎
デルクイ 01─反体制右翼マガジンデルクイ 01─反体制右翼マガジン
外山恒一の言う世の中の「左傾化」とは、資本主義社会が内に抱えるリベラル・社民的規範のことであり、これは共産主義とは違う。彼の脳内では共産主義も社民も似たようなもんだということになっているらしい。あるいはスターリニズム共産主義の混同なのかもしれない。小野俊彦と千坂恭二の考えが面白く感じた。特に小野の外山批判。
読了日:05月11日 著者:『デルクイ』編集部,千坂 恭二,糸圭 秀実,中川 文人,外山 恒一
必読書150必読書150
読んでたのは27冊。インテリゲンチャへの道は遠い。全部ちゃんと読むには人生の長さが足りるか心配だ。
読了日:05月11日 著者:柄谷 行人,岡崎 乾二郎,島田 雅彦,渡部 直己,浅田 彰,奥泉 光,スガ 秀実
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。2 (富士見ファンタジア文庫)勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。2 (富士見ファンタジア文庫)
フィノの賛美する文明史的な良い資本主義と、拝金主義的な悪い資本主義が区別されてるのはやっぱり素朴にすぎるのだが、悪い資本主義が正義のイメージを利用して俗情を煽ってる側面を描くのは画期的。革命的意志の形成にはまずここから始めなければならないという意味で必読のラノベ。勇者・魔王という主人公的で中心的な概念から疎外された者達の共同性を描いている点も注目すべき。特にアイリは涼宮ハルヒの系譜に連なる、読者達の挫折した自己中心化願望の投影先である。この挫折は労働というテーマを抜きにしても読者の社会化・教育に資する。
読了日:05月12日 著者:左京 潤
楽聖少女 (電撃文庫)楽聖少女 (電撃文庫)
杉井光は神メモが代表作であって、この新作を読むにつけてその念は一層高まった。杉井光は音楽も文学も好きだけどラノベ作家であり、その限界といってはなんだが、突き抜け切れなさみたいなものをこの小説からは強く感じる。また、歴史上の人物の内面に踏み込む描写だとか、ベートーベンとロックンロールの安易な短絡はやめにしてもらいたい。それはロックンロールの歴史的意義を損なうものだし、ベートーベンを今風に短絡化する。昔と今では音楽を取り巻く状況は違うに決まっているのだ。
読了日:05月13日 著者:杉井 光
消費税のカラクリ (講談社現代新書)消費税のカラクリ (講談社現代新書)
面白いんだけど、サマリーが欲しくなる本。
読了日:05月13日 著者:斎藤 貴男
知性について 他四篇 (岩波文庫)知性について 他四篇 (岩波文庫)
天才についての下りが良いのだが、この文章で慰めを得る人は、良くも悪くも自分は天才だという自意識を持っている人間だと言えそうだ。白状すれば私もかなり天才については共感するところがあった。しかし、その上で考えるべきなのは、天才がある種の怠惰の免罪符となっていはしないかということであろう。さすがにショウペンハウエル自身は、どんな凡人にも見るべきところはありうると述べてその怠惰を戒めているし、知識だけある馬鹿を軽蔑しながらも、本人はむしろ異常なほどの学識を持っていたところを見ても、彼自身は真に天才だったのだろう。
読了日:05月15日 著者:ショーペンハウエル
耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)
文体は途中からアクセル踏み込んでる感じ。というか、無理してラノベ書いてる感がパない。作者に批評的意図なんかないんだろうけど、読者が受け取るべきなのは、我々が今現在享受している自由主義的で資本主義的な「自由」ってのはスターリニズムのそれと変わんないんじゃ、っていうメッセージであろう。レイチの内面の無さっぷりはあらゆる内面強要への拒絶を意味する。レイチに共感できなくて当然。だからこそ本質的なリベラルさがある。
読了日:05月18日 著者:石川 博品
雨の日のアイリス (電撃文庫)雨の日のアイリス (電撃文庫)
これは全然ロボットを描いた小説ではなく、ロボットという設定に仮託して作者の人間観を描いた小説であって、それゆえロボット達に投影されているのは作者のナイーブなハートであるから、ものすごく自己愛的な小説だと思う。どんどん壊れていくロボットの描写は、ロボットモノのことをよくわかっているなと感じたが、ロボットに人間の主観を丸ごと移植してしまってはその効果も半減以下だ。秋山瑞人キノの旅の系譜。そういう意味では今時めずらしい真性セカイ系。ロボ達のアダルトチルドレンぶりは麻枝准にも通じる感性。リストカットロボ。
読了日:05月19日 著者:松山 剛
幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人
ガッカリだよ。本当に。
読了日:05月20日 著者:阿部 和重
Re(アールイー):5  バカは世界を救えるか? (富士見ファンタジア文庫)Re(アールイー):5 バカは世界を救えるか? (富士見ファンタジア文庫)
思えばこの小説が一貫して説いていたのは、中二病を貫徹しろ、というメッセージであった。しかし、中二病は貫徹不可能なものなはずで、現に貫徹できなかった光一も存在するのだが、そんなあり得たかもしれない自分への想像力は、寛容・リベラル・倫理へと開かれている。また、アルルのいない世界に価値があるか、という問題は、自分が一体どんな世界に価値を認めるのか、という価値の基準の問題へと発展せざるを得ない。見た目の軽さと裏腹に重厚なテーマの含まれた良いラノベだった。
読了日:05月20日 著者:柳実 冬貴
対魔導学園35試験小隊1.英雄召喚 (富士見ファンタジア文庫)対魔導学園35試験小隊1.英雄召喚 (富士見ファンタジア文庫)
もうちょっと心理描写とか会話描写をちゃんとしてほしかった。設定とか話の筋とかも良くわからない。Re:が結構良かっただけにちょっと残念だった。
読了日:05月22日 著者:柳実 冬貴
0点主義 新しい知的生産の技術570点主義 新しい知的生産の技術57
荒俣先生の半自伝的エッセイであって、勉強法の本でもなければ自己啓発のビジネス書でもない。ゆえに、本書で紹介されている方法はほぼ荒俣先生にしか有効ではないだろう。大体本人は7歳から0点主義に目覚めたのであるらしいから、おおよその読者には再現不可能なのである。
読了日:05月25日 著者:荒俣 宏
ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略
もっと実証的な本なのかと思ったら全然そんなことなかった。なんというか、半分ビジネス書。ビジネス書と文芸批評の違いはどれだけあるか、ということも考えさせられた。両者ともに形而上学的で観念的な内容が多く含まれていることには違いない。
読了日:05月27日 著者:飯田一史
家族八景 (新潮文庫)家族八景 (新潮文庫)
ナナちゃん萌えだよね。形骸化した家族という表象はこの頃からあったのだなと思う。もしかしたら日本の家族は昔からそういうものを含んでいたのかもしれない。うまくいく家族もあれば、そうでない家族もあるが、そうでない家族もうまくいってる振りをせねばならぬがゆえに。
読了日:05月28日 著者:筒井 康隆
七瀬ふたたび (新潮文庫)七瀬ふたたび (新潮文庫)
何故家族のことを描かなくなったのか、が重要だろうなと思う。家族八景においてESPとは家族の本当の姿を暴くための小道具に過ぎなかったのだが、本作においてより重大な地位を与えられているのは、本作が暴く対象を家族から社会へと大きく広げているからだろう。この小説を単なる超能力モノだと読むのはあまりに貧困な読み方だ。
読了日:05月30日 著者:筒井 康隆
エディプスの恋人 (新潮文庫)エディプスの恋人 (新潮文庫)
ラノベ世代の私から見ると逆ハルヒみたいな話で、「彼」(=「世界の主人公」)の性的願望の対象である七瀬は世界を遍く支配する母性により都合よく据えられた存在でしかない。物語という虚構の世界はこうした母性により構成されているということに自覚的であるという意味で、もう三十年も前に宇野の言うレイプファンタジーの問題に触れているわけで、すごく先見性のある話だとやはり思う。ラノベ世代から見れば。
読了日:05月31日 著者:筒井 康隆

2012年5月の読書メーターまとめ詳細
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