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hkmaroのブログ

読書の感想など

文フリで買った本の感想 その1

文フリで買った本、既にに何冊か読んだので感想を書いとこうと思う。

まず、本ではないのだが、湊町メディアシステムというサークルの『ドキュメント車載動画 福島第一原発警戒区域外周一回り線量測定』というDVD。これは上下二枚組みで、原発周辺の地域を線量を測定できる機械を視界におさめながらぐるっと回っていく動画で、場所によっては結構ピコピコいっていて、ああ本当に放射能やばいんだな、と感じられてよいと思う。すごいのは、そういう線量高いところでも普通に車とすれ違ったりしているところで、あれは現地に住んでいる人の車なのだろうか。それとも撮影者と同じように線量を計りに福島にやってきた他県の人なのだろうか。車載動画としては、当然頒布してるDVDなのでニコ動の車載動画みたいにありものの音楽を使えないせいか同じ曲を延々繰り返していて、意外にもこれが視聴するにあたって非常なストレスとなった。BGMの力は偉大だな、と思った。

次に青年文化ゼミ有志というサークルの『文化と表現』のVOL.11。今回は卒業というテーマで色々書いてあったようなのだが、やはり今回もT.A.氏のページが面白かった。大雑把に要約すると、昔は「不安定だけど自由な学生時代」と「安定しているけれど不自由な社会人」という状態を区切るのが卒業だったが、しかし九十年代に新自由主義化が進行した結果この構図は変わってきてて「不安定かつ不自由な学生時代」と「不安定かつ不自由な社会人」になってて従来型の卒業が機能してない、ということになる。なので、若者たちは実は「卒業し(たく)ない」モラトリアム人間というよりは「卒業できない」存在なのだ、ということが書いてある。それなのに未だに「卒業」なるものが多くの人々の想像力を刺激するとしたらそれはどういうものなのか、という問いが最後に書いてあって、そこでは示唆するに留めてあるのだが、例えばアイドルの所属グループからの「卒業」を考えてみることによって明らかになるかもしれない、みたいなことが書いてある。私はアイドルに全く興味がないので最後の示唆は残念ながらよくわからなかったが、その前の、卒業が機能しなくなってる、みたいな話は非常に面白かった。他の原稿はAKB48を語ったものや『けいおん』シリーズを語ったものや「おたく」を語ったものなどあるが、その中でもK・Yという人の、廃校になった校舎を文化施設として再利用する現象について書かれた論考は超面白くためになる。こういうのがたったの100円で読めるなんてすごい。青年文化ゼミの皆さんには是非頑張って欲しいですね。

次に早大フェミニズム/ジェンダー研究会というサークルの『エス』という本。エスという名前は、英語ではフェミニズムのことをFeminismsと複数形で書くように、フェミニズムはそれを唱える一人一人に独自の考えがあって、その精神を尊重するため、みたいなことが確か冒頭に書いてあったと思うのだが(ガクショウに貸しているので確認できない)、それは確かに重要なことだと思うのだが、その精神に照らして残念だったのは対談がほぼ肯き合いに終始するの観があったことだ。が、フェミニズム初心者がああいう対談を読んで大いに啓蒙されるということはあり得るだろうからフェミニスト的にはそれはそれでいいのかもしれない。もちろん対談でけなされている動物的な(男の)オタクであるところの私には異論ある部分もなしとしないが、木島佳苗が何故ある種の女性に人気があるのかとか、腐女子も子供の頃にセーラー戦士の服をビリビリに破いたりして楽しんだりするという情報が得られたのは有益だった。後者のサド的な性的興奮に関してだが、オーケンが昔エッセイで性の目覚めは怪獣になぶられるウルトラセブンの姿を見ることによってであったみたいなことを書いていて変わってるなと思っていたら、実際に他にもウルトラセブンが痛めつけられるシーンで性に目覚めたとか言ってるオッサンに生で出会ったことがあって、それに関連してこういう子供のサド的趣味には何かあるかもしれんと思った。あと、他には野田+桐本氏の論考が抜群に面白いというのは言うまでも無いとして、中村仁美という人(本の主催者らしい)の文章が良かった。実存の話から資本と国家の話へつながっていくところが良く、こういうのだったら家父長制イデオロギーに無意識裡にどっぷり浸かった母性のディストピアを謳歌する動物的オタクであるところの私にも理解できるところが全く無いというわけではない。気がする。

あと、Kototoiという本も文フリで買ったのだが、冒頭に書いてある詩の復権みたいな話が予想に反してえらい保守的だった(政治的に保守だという意味ではなく)。まあ詩とは概してそういうもんだということがテリーイーグルトンの本にも書いてあった気がするので全然不思議ではなく、むしろイーグルトンの話が実証された形になって面白かった。吉本隆明のインタビューは同じことをぐるぐると何回も言っている。「荒地」同人の話などをしている。あと吉本自身の詩作について。

phenyldrugerというサークルの『団地少女』。これは団地を舞台として少女が出てくる短編を集めたV.A.オムニバス小説集なのだが、なんか半分近く百合話だった気がする。あと、ほぼ全ての短編が架空の団地というか抽象的な団地を舞台としているのだが、個人的にはもっと実在の団地名とかをガンガン出してくれたほうが良かったなあ。団地にも実は色々カラーとか歴史があるということが原武史の本とか読めばわかるわけなので。まあいいんだけど。実際住んでる人はそんなことあんまり意識しないだろうし。百合話も予想より面白かったし。

小山昌宏という人の『わたしの愛する七人の歌姫』。うーむ。なるほど。

兎角毒苺團というサークルの『機械仕掛けのイコン』。うーむ。こういうのもあるのか。

他の本の感想はまた今度書く。