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hkmaroのブログ

読書の感想など

芸能春秋

個人的な社会研究の一環として、いわゆる「総合誌」を読んでみようと思い、今月の文藝春秋を買った。主に政治的な意見としてどのようなものが載っているのかみてみようと思っていたのだが、そんなものは数ページしかなかった。あまりにもひどい。

表紙に載っている今月の特集は、

アンタッチャブル 大型企画 事件史 真相開封35
・衝撃レポート 人工透析は必要か/尾崎豊の「遺書」全文

である。ちなみに「真相開封35」というのは戦後の有名な犯罪事件や芸能ゴシップを懐古的に振り返る特集だ。この特集の「総括対談」をするのは、なんと草野仁とデーブ・スペクターである。

これが「総合誌」なのか。人工透析と尾崎豊の遺書に、草野仁とデーブ・スペクターの対談に、日本の何が「総合」されているというのか。少なくとも私は全く総合された気がしない。いまさら「総合」に拘るのは「大きな物語が凋落」した世の中にあっては不適当であるのは承知の上で、それでも日本一の部数を持つ「総合誌」に対して、芸能ゴシップ・グラビアや、有名犯罪事件の記事や、旅館とメシの広告や、特定の病気とその治療法に関する記事よりも、政治や経済や社会・文化の適度に硬派で解説的な論考を読みたいと期待するのは、そう間違った考えでもなかろうと思う。

文藝春秋は日本人の未開さを象徴するような雑誌だと思う。これがもし「芸能春秋」とか「グルメ春秋」とか「健康春秋」とかいう雑誌名だったらおおいに結構なのだが、実際にはそういう特定の世間に照準を合わせた記事ばかり載せている雑誌が「文藝」を騙り、しかも「総合誌」ということになっているから許せん。こんなものを買って「知的アイテム」として愛玩しているような蒙昧な人間は恥の観念を知らないのだろう。当然日本人は「恥の文化」を持つのであるから、こういう雑誌を読んでいる人間が日本人ではありえないことは自明である。たとえいくら売れていようとも倫理的に問題があり日本文化の退行をもたらすのみであることは確実なので廃刊にすべき。