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hkmaroのブログ

読書の感想など

読書メーターまとめ

2011年8月22日 - 2011年8月28日の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3996ページ

魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)
作者の思想信条がどうなのかはこの際問わないとしても、この小説があまりに革命的すぎたのは、「アカ狩り」の小説である点である。オタクは昔から社会的には少数派であり、自意識としては社会不適応な弱者であって、オタクコミュニティは本来左翼的な雰囲気を持っていた。弱者が連帯して何か新しいことをやるんだ、というのが基本的な雰囲気で、端的にこの雰囲気は「ニュータイプ」という言葉に集約される。ところがこの小説は、「ニュータイプ」を悪者によって洗脳された心の弱い人たちだと決めつける。いつからオタクはそんなに偉くなったのか。
読了日:08月26日 著者:佐島 勤
魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)
オンライン小説という出自を考えれば、多少粗い感じがしても、まあこんなもんだろうと納得できるのだが、結局読者が期待しているであろう、ゼロ魔とか俺妹とかISなどにみられる男女の役割関係の反転(強いヒロインと弱い男主人公)とそれの再反転によるカタルシス解放の仕組みがない上に、西尾維新的な、天才ヒロインと凡人主人公の特権的なカップリングの構造すらみられない。結局主人公が暴力的に周囲を制圧して権力を高めていくだけの話であり、上巻の時点ではまったく読む価値がない小説だと言える。その他のキャラも平板であり、退屈。
読了日:08月26日 著者:佐島 勤
マリア様がみてる (マリア様がみてるシリーズ) (コバルト文庫)マリア様がみてる (マリア様がみてるシリーズ) (コバルト文庫)
一巻を読むのは四回目くらいだが、その度に新たな感想を抱く。祥子さまの柏木さんへ向けた屈折した気持ちが祐巳にだけは「どうしてだか、すごく」わかるのだが、この乙女ちっく漫画的な普通の人には理解されない内面によって、逆説的に二人は結ばれる。この乙女ちっく的内面の存在を認めることこそマリみての倫理的メッセージ性の根拠であり、それがコバルト文庫だとか少女小説だとかの枠組を大きくはみ出して男性(オタク)に広く読まれた理由なんではないかと今回読み返して思った。この内面の擁護は、現実に疎外された感覚を抱く者達を慰める。
読了日:08月25日 著者:今野 緒雪
啓蒙の弁証法―哲学的断想 (岩波文庫)啓蒙の弁証法―哲学的断想 (岩波文庫)
良いことは色々書いてあるにも関わらず、「哲学は、諸科学の総合ではないし、科学の基礎でも屋根でもない。哲学とは、暗示に抵抗しようとする努力であり、知的かつ現実的な自由をめざす決断である」などと書いてあるところは意外にナイーブだ。哲学者である自分たち自身は暗示にかけられることはない、という宣言に読める。神話が既に啓蒙である、というテーゼがよい。文化産業や反ユダヤ主義などを対象に社会批評をしているようでいながら、人間と自然とミメーシス、などという哲学的な大テーマを論じてしまうところもよい。まさに哲学的断想。
読了日:08月24日 著者:ホルクハイマー,アドルノ
真贋 (講談社文庫)真贋 (講談社文庫)
youtubeにあがってる動画で、すが秀実糸井重里のことを「香典泥棒」と呼んでいたが、これも同種の香典泥棒本である。吉本隆明の名前で本を出せば、ある層が必ず一定の量買ってくれるという期待のもとにこういう中身ほぼゼロの本が出版される。「戦後最大の知識人」の「語り下ろし」にはもはや哲学や文学はおろかサブカルチャーや大衆に目を向けた理論も実践も糞も味噌もない。非常にがっかりさせられる現実ばかりが感じられ、読んでいてつらくなる本。皮肉にもそういう本のタイトルが『真贋』である。
読了日:08月23日 著者:吉本 隆明
のうりん (GA文庫)のうりん (GA文庫)
基本的にはくだらないギャグ話が延々続くのだが、ときたまみられる高尚な本からの引用や、農業自体が土を殺すことだ、という認識は評価すべきだろう。ラノベに久々に人間の精神を見た。よく言われることだが、カルチャー(文化)の語源はカルティベイト(耕す)と同じであり、耕すことが必然的に自然破壊を帰結せざるを得ないならば、人間は自然から疎外された存在である。安易に自然との融和であるとか、逆に自然を支配する必要性を説かないところが好印象だった。人文的ラノベ。
読了日:08月23日 著者:白鳥 士郎
ファウスト〈2〉 (新潮文庫)ファウスト〈2〉 (新潮文庫)
読了日:08月23日 著者:ゲーテ
ファウスト〈1〉 (新潮文庫)ファウスト〈1〉 (新潮文庫)
読了日:08月23日 著者:ゲーテ
罪と罰〈下〉 (新潮文庫)罪と罰〈下〉 (新潮文庫)
ラズミーヒンの度外れたアツい友情とソーニャの赦しにやはり感動する。特にソーニャに罪を告白して「世界一不幸」と言われる場面が泣ける。ドストはキリスト者でなければ理解できないなどと言われることがあるが完全に間違いだ。よしんば正確な理解はできなかったとしても、少なくとも感動はできる。
読了日:08月22日 著者:ドストエフスキー
罪と罰〈上〉 (新潮文庫)罪と罰〈上〉 (新潮文庫)
これはインテリ青年の苦しみを表現した本。ラスコーリニコフは基本的に最後まで金貸しの悪徳老婆を殺したことを悪いことだと思っていない。それどころかリザヴェータをも殺害してしまったことも、それほど反省しているようには見えない。この本は殺人罪という比喩でもって、インテリ青年の思想が現実の人倫社会から乖離していく苦しみを表現した小説なのではないかと自分には読めた。知識人はどこかで世間一般の幸せをあきらめねばならない。世間一般の幸せな暮らしが気付かずに踏みにじっている別の人びとのことを考えねばならない。
読了日:08月22日 著者:ドストエフスキー

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