hkmaroのブログ

読書の感想など

綿矢りさの『勝手にふるえてろ』読んだ。ipadで。

ipadのアプリでダウンロードした。リアルの本と違う点はまず安いことであり、著者のビデオメッセージが見られることであり、著者インタビューが見られることだ(リアルの本には多分インタビューは載ってない)。

しかしこのビデオメッセージというのが「え、何? もう終わり?」という感じのお粗末なメッセージであって非常に落胆した。ただの好奇心でダウンロードしている私のような人間ですらこの落胆ぶりなのであるから、アイドルとして綿矢りさを追っかけている人々の落胆ぶりは推して知るべしだ。というか綿矢りさにはアイドルとしての自覚が全く足りていないと思うし、出版社の売り出し方も全くなっていないという感じがする。綿矢りさに欠けているものは何か。それはマネージャーだ。平たく言えば所属事務所だ。綿矢りさには歌ったり踊ったりするアイドルには無い特殊性があるのだから、それを売り出さなくてはダメだ。しかもその特殊性は、普通のアイドルよりも長いアイドル生命を保障するだろう。競合する文筆アイドルがほとんどいないし、年をとって知性が増せばそれが即アイドルとしての魅力にもなる。

インタビューについては東京に数年住んでもまだ関西弁の抜けない女はウザいという自明の命題の明晰・判明さを再確認したのみであった。あ、自分の小説を消費財だと認識しているらしい発言には注目しておきたい。それがわかっているならなぜ写真集を出さないのだ。

さて、肝心の小説の中身であるが、綿矢りさは私とだいたい同年代の作家であるから注目していたこともあり(『夢を与える』とかいうイマイチパッとしなかったらしい小説はいまだ読んでいないが)、今回も読むのを楽しみにしていた。綿矢りさの小説の主人公たちは、いかにも私大の文系学部にいそうな、人間観察が趣味の根暗な女ばっかりなのであるが、今回もそういう主人公が登場して、まあいつもとあんまり変わらない感じの小説で、それを指して「まるで成長していない……」と評価するのか、あるいは消費財として金太郎飴的に一定のクオリティを維持していると評価するのかは読者によって分かれそうであるが、というか中身は全く問題ではなくて、じゃあ何が問題なのかというとその分量である。あまりに薄い。かなり丹念に読んでも二時間あれば読み終わる。この薄っぺらい小説に、「は?」って感じのビデオメッセージが付いて、さらに若干ウザい感じの著者インタビューが付いて、千円もとるっていうのはどういうことなの。売る気あるの。

これまた先日の『ルー=ガルー』と同じく絶対にオススメしない作品だ。しかし綿矢りさにはこれからの売り出し方いかんによっては明るい未来もありうる。先述したとおり、メディアへの露出を管理してイメージを形成してくれる所属事務所が存在していれば、最初に芥川賞をとったときと同じように莫大な売上を維持し続けることができるのではないかと思う。その証拠にみなさん、彼女が『夢を与える』っていう小説を出していたこと、知っていましたか? もはや知り合いに自慢できる雑学の一種だ。まあ、今回の本はいろいろ記事になったりして書店にも積まれていて結構みんな知っているけれど、このうっすい小説にどれだけの人が千円〜千二百円だしてくれるのか。もう女子高生作家ではないのだから、そして電子書籍なんていうカードに二度目はないのだから、やっぱり事務所に所属しないとだめだ。というかもしかしたらもう既にしているのかもしれませんね。そしたら事務所がだめなわけだけど。